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HETAREDREAM

夢のあるヘタレが世界で活躍する起業家になるまでの物語

第九話 何処の何者として闘うのか

会社の夜になっても光は絶えることがない。いくら夜が近づいても、社員全員が帰宅しても、ライトは消えない。僕の社長が必ず最後までデスクトップと向き合っているからだ。

500startupsはオフィスの利用期間は、ピッチアップの成果によって決められる。多くの企業は、500startupsのオフィスから3ヶ月間で退き、そこで解散するものもいれば、自宅で継続するものもいる。僕が働くuguruはピッチアップで成功し、資金を整え、1月末まで500startupsに残ることが許されている。しかし、どの道ここに残れることのできる時間は本当に限られているのだ。

時が有限であることを物凄く感じられる環境に置かれているためか、彼は信じられないほど働いている。朝8時に出勤し、夜23時まで働く。日本人にとってのお正月みたいなThanks giving daysすら、休みを取らずに会社に残り、家族全員からバッシングを食らったとか。それぐらい毎日必死に働いている。

 

懐かしかった。彼のひたむきの姿勢が。とても。

比較することすら恥ずかしい話だが、活動に打ち込んでいる時、僕は彼と同じような生活を送っていた。毎日夜遅くまでイベントを企画し、実行に向けて走り回り、仲間と喜びを分かち合っていた。先のことなんて考える余地は一切なく、只々より多くの人に楽しんでもらうために、全国で最大級の組織にするためだけに没頭していた。周囲からは異常だと言われたとしても、楽しくてどうしようもなく辞められなかった。そして、気がつけば休学していた。彼の姿勢を見ていると、そんな昔の思い出がふと蘇る。

只、全国最大規模という頂に登った後、僕は次の答えを見つけることができなかった。あくまで僕たちは学生団体であり、生きていくだけのキャッシュが立つめどはなく、現実的な限界に初めて直面し、失速してしまった。そして、足を止めた。この頃からだと思う。急に丸くなって、保守的な考えを持ち始めてしまったのは。そこから、就活をして、周りと同じように、落ち着いて椅子に座ってみた。それが今の自分である。

確かに、僕と彼は走る市場も異なれば、闘う競技も異なる。彼はプログラマーであり、僕はスキルがない。彼はチューターのマッチングプラットフォームをオンラインに構築し、僕は留学生のマッチングを小さな語学教室でこじんまりと立ち上げていた。打ち込んでいる時間は同じでも、与えるインパクトは月と鼈。何処で、何者としてエントリーするか。この選択が異なるだけで、ここまで大きな違いが生まれるのだ。

 

何処で、何者として、闘うのか。

賢者への登竜門はまだ長い。

 

追記:

起業のリスクとはなにか。

大きく分けると、時間と報酬という切り口に集約されるのかと思う。この観点から考えた場合、以下の3つがリスクとして挙げられる。

  • 雇用機会の喪失
    例えば、卒業後に起業をしたものの、3年後に事業を畳むことになった場合、職を見つけることが困難なことが想定できる。この場合、企業に雇われるにしても非常に選択肢が狭くなり、その後の収入が不確実になる。安定収入の欠如が第一のリスク。

  • 時間対成果
    起業をすることを継続したものの、自分が働き続けなくては行けない状況が避けられず、なおかつ売上に限界が有る場合。例えば、飲食店や人材系のビジネスは此れに当てはまる。この場合、辞めれば生活ができなくなり、辞めなければ今の状況が改善されない半殺し状態維持される。きっと此れが一番つらい。普通に働く以上の苦労が強いられるにもかかわらず、報酬が極めて低い。このリビングデッドが第二のリスク。

  • 自己破産
    出資受けて、借り入れしたにも関わらず、想定通りに事が進まず、自己破産する場合。こうなると、日本社会で人生をやり直すことは大変難しそう。自己破産後の生活がどのようなものかは詳細がわからないために、今回はエントリーしないけれど、此れは一番避けなければいけない選択肢。これが第三のリスク。

結局は全て、「収入がなくなるリスク」に尽きる。ということは、自己破産することなく、借金を抱えることなく、倒産後も企業で雇われる"市場価値"があれば、企業に対して全く恐れを感じる必要はなく成る。これは、自分が支払える限りの資金を出資し、投資から資金を調達し、失敗後も立ち直れる専門知識があれば、社会的に死ぬことはなくなるし、何度だって挑戦することができる。もちろん、投資家から出資を受けられる機会や、寿命、家族の有無によって、限定はあるけれど。ということは、

  • 借金を抱えて起業しないために事前に資金を蓄えること。また、その資金に加えて投資家から出資を受けること。
  • 起業が失敗に終わった際にも、立ち直れるだけの専門知識を身につけること。
  • 他人に迷惑かけぬよう起業が成功するまでに妻子を作らないこと。例え理解がある人でも。

この三点を満たせば、恐れることはない。何度だって立ち上がることができる。するとやっぱ、どの専門知識をつけるのかという論点に戻ってくるわけだな〜。話が進みませんね。此れに解を出すためには、ある程度高い給与で雇用されるための専門知識は何かということを考える必要がありそうだ。しかも、5年後、10年後もきっと役に立つ専門知識。次回のお題ですね。

 

アデュー

シリコンバレー、サンフランシスコ